台本はなく、渡された設定を読み込んで自分で与えられた役割を即興で演じなから殺人犯を暴く次世代型推理ゲームがベースの新感覚ドラマ『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』。
エントリー総勢251人の中から選ばれた7人のファイナリストが作り上げていくこのミステリードラマを審査員と一緒にその場で見て、犯人を推理しながら演者たちの演技力をチェックした劇団ひとりと剛力彩芽を直撃!
実は、本人らも探偵・斑目瑞男(まだらめ・みすお)役と、その助手・村城和兎(むらしろ・わと)役でストーリーテラーとしてドラマの中に登場している!?
新たに誕生したエンタテインメントの唯一無二の魅力と面白さを語ってもらった。
謎解きだけではない芝居側のミステリーが面白い
――ご覧になっていかがでしたか?
ひとり 面白かったですね。ミステリーだし、ドキュメンタリーだし、バラエティだし、いろいろな見方ができるまったく新しい番組でした。
剛力 私は番組を進行させなければいけないので、事前に一度見せていだいて、今日が二度目だったんですけど、展開を知っているからこそ、この人たちはここでどんなお芝居をしていたんだろう? これはアドリブなのかな? 設定があるのかな? とか考えながら見られる。だから、何回見ても楽しいと思います。
ひとり 確かに。1回目と2回目でたぶん全然違う見方をするでしょうね。
剛力 それこそ、犯人役の人なんて表情が豊かで、2回目に見たときに、あっ、この人このとき、こういう表情をしていたんだ?っていう発見があって面白かったですよ。
――ひとりさんが先ほど言われたように、この番組は謎解きや犯人探しのドラマ仕立てですけど、メインテーマは新人発掘オーディションです。この番組の企画自体はどう思われました?
ひとり すごくいい企画だと思いますね。ミステリーとしても普通に面白いんですよ。だけど、そこに、この役を与えられたらどんな芝居をするだろう? という芝居側のミステリーもあるわけですね。
だから、これで世に出るんだ! 爪跡を残してやるんだ! といった役者さんたちの駆け引きやバトルもあったりして。だから、すごく面白いけれど、疲れる番組でもありますね(笑)。
剛力 (笑)
ひとり 逆に、ながら見されちゃうと、面白さが伝わらないんじゃないかな。集中して、いろいろな視点で楽しんでもらいたいですね。
剛力 私はこのオーディションを受けたいと思いました。ただ、予選で落ちたらどうしよう? という不安がやっぱりありますよね。
普段は台本をいただいて、設定やセリフがある状態でお芝居をしているので、設定と大まかな物語の流れだけ教えられて、その状況で犯人を見つけなきゃいけないってなったときに自分だったらどうするかな? と思って。そういう見方もできるんです。
ひとり そうですね。
剛力 そう。相手の芝居も予測できないから、あっ、ここでこう来るか? って思ったりもするけれど、それも面白い。私もお芝居をさせてもらう事が多いので特にそちら側の目線で見ちゃうけど、お芝居経験者でも未経験者でも、そういう視点で見られるから、そこは新しいのかな?って思います。
笑いをこらえるのがいちばん難しい
――あと、謎解きに夢中になる人もいると思うんですけど、ひとりさんはどこにポイントを置いてご覧になっていました?
ひとり 僕はけっこう芝居が楽しかったですね。あっ、この人、ブレないな~とか、この人、ちゃんとこういうところでも間を作れるんだな~とか、相手のセリフをちゃんと聞いてからちゃんと喋っているなとか。そうじゃない人は、コレを言いたいと思うと、相手のセリフを聞く前に喋っちゃいますから(笑)。
剛力 我慢できなくて(笑)。
ひとり そう! あと、ちゃんとキャッチボールになっているかとか、僕はそういうのを見ているのが楽しかった。
役者さんの個性がすごく出やすいし、僕も表に出る仕事をしているから参考になったけれど、前に出たり、大きい芝居をしたからって目立つわけじゃなくて、控えめな小さい芝居の方が結果的に印象に残るということを改めて確認できました。そういう意味でも、役者さんはいろいろ勉強になるんじゃないですかね。
――具体的に印象に残った役者さんやお芝居を教えてください。
ひとり 僕は記者の竜崎を演じた斉藤佑介さん。細かい目の芝居や間の芝居をちゃんとやっていて、本当に芝居が好きなんだな~この人は、って感じがしましたから。いい意味で、自分の芝居に酔っているじゃないですか! だから、見ていて気持ちがいいですよね。
剛力 私はイラストレーターの猪又を演じていた松澤和輝さん。熱量もすごくあるし、何か隠しているなっていうのは分かるんですけど、彼が喋ると引き込まれてしまうと言うか、真剣に聞かなきゃっていう気持ちになる。それぐらい印象的でした。
あの顔はアドリブなのか、素の驚きの表情なのか? そのバランスを上手くとろうとしている感じが面白くて、どっちなんだ、どっちなんだ? と思いながら、見入っちゃいました。
――ひとりさんも番組の中で言ってましたものね。「お芝居とリアルが交錯している」って。
ひとり うん、うん。そこが醍醐味なのかもしれない。
剛力 犯人じゃない人が安心しきって、気楽に喋ってるときもありましたしね(笑)。
ひとり いや~あとで確認しましたけど、ちょいちょい笑っている瞬間も映っていましたよ(笑)。俺も一緒にやっていたらつられて笑っちゃうと思うし、笑いをこらえるのはけっこう至難の技だと思いますよ(笑)。
剛力 笑わずに芝居を続けるのがいちばん難しいことかも(笑)。
ひとり 難しいと思います。
自分の芝居をアピールできるいい自己紹介に
――即興力だけでなく、相手の芝居を受けたときの対処法や判断能力も必要ですね。
ひとり 絶対に芝居を適当にやっちゃいけないんですよ。でも、やっちゃいそうだから怖くて。僕も「口から出まかせを言え!」って言われたら全然言えるけど、適当なことを言うと間違えちゃうじゃないですか。それこそ、アリバイも崩れちゃう可能性があるから、出まかせは言えないんですよね。
――そこが普通の即興芝居と違うところですね。
ひとり 違うんです。
剛力 確かに、その怖さはありますね。
ひとり あるある。うっかり適当なことを言っちゃったら、後で「あれ、辻褄合わないよね」ってなっちゃう。
剛力 緊張感がありますね。
――ひとりさんも最初に言われたことですけど、番組の審査員の方々も「芝居がブレない方はスゴい」って評価されていたのが印象的でした。
普通の視聴者はオーバーな芝居や大きな見せ場のある人に目が行きがちですけど、そうじゃなくて、ずっとブレずに同じ芝居を続けている人にみなさん注目されていたので、そこは面白かったです。
ひとり だって実際は3時間ぐらいカメラを回していたらしいですけど、その間、芝居をずっと続けるのはけっこう大変なことですよ。
――3時間、ずっと役になり切っているわけですものね。
ひとり そうなんですよ。
剛力 本当、スゴいと思います。
ひとり そういう意味ではすごくいい自己紹介になると思いますよ。
剛力 そうかもしれない(笑)。