いろんなパターンで同様の番組を作ったら面白い

撮影:渡邊明音

――いずれにしても、今回はこの1回限りの『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』です。評判がよければ第2回もあるかもしれないですけど……。

ひとり いや、本当にいい企画だと思うから、定期的に続けていった方がいいと思うし、欲を言えば、この番組発のスターが出て、「実はあの番組の出身なんですよ」みたいな展開になったら素晴らしいですね。

――第2回、第3回と続けていくとしたら、改善した方がいいところはありますか?

ひとり すごく難しいんですけど、役者さんがどこまで何を知っているのか? というのが分からなくて、見ていると混乱してくるんですよね。この情報はこの人だけが知っているのか? その人のパートナーも知っているのか?っていうのが、けっこう分からなくなる。

だから、僕はスタッフに逐一確認していたんです。それによって全然違うじゃないですか? この情報を知らなかったら、この対応はスゴいなって思っちゃうし、あっ、この情報が出るって分かっていたからこのセリフを言っているんだろうなとか思う。

要は、ナチュラルに食っちゃうんですよ、絶対に前に出るタイプの人が。こういう事実があるんだったら、このときにこういうセリフを言っちゃおうって、事前に考えたくなくても考えちゃうものでしょ!

だから、逆にその情報を知らずに前に出てきたんだったら、スゴいな~と思ったので、それをけっこう確認して。それによって、審査員の評価もけっこうガラっと変わると思うんですよ。

――でも、剛力さんはそこも全部分かった上で観ていたんですよね。

剛力 進行をやらせてもらう以上ある程度は観させて頂きました。でも、情報をどこまで知っているのか?っていうことも、誰がどんな秘密を持っているのかということも、すべて把握しているわけではなかったですからね。

ひとり だから、誰かひとりでもいいから、どれぐらいの情報を与えられていたのかということを、番組終了後にツイッターなどにあげてもいいかもしれないですね。面白いと思う。それを見て、あっ、この情報だけであそこまでやっていたんだ~っていうのが分かりますから。

剛力 うんうん。

ひとり 演者たちと審査員のアフタートークがまた面白かったですからね。

剛力 アフタートークは必ず欲しい。

ひとり だから、尺がいるんですよね。この番組って。30分や1時間じゃ、けっこうキュッキュッキュッとなって面白さが伝えられないですから。

――生瀬さんや審査員のコメントも面白かったんですけど、おふたりが“あっ、そういう見方をするんだ?”と思うようなコメントをされた方はいましたか?

ひとり そうですね~。あっ、でも、生瀬さんが「アイドリング芝居がいいね~」って言ったのは印象的でした。うん。

やっぱ、強く大きくやるものって、まあ、けっこう分かりやすかったりするじゃないですか。そうじゃない、回転数で言うと、すごく低いところで印象に残る芝居をするっていうのは、役者さんにとってけっこう大事なことかもしれない。“立ってるだけで絵になる”って、そういう人ですからね。

でも、「アイドリング芝居」っていうワードはなんか面白いな~と思いました。僕は初めて聞いたので。

剛力 私も初めて聞きました。

ひとり でも、なんか分かる。アクセル全開のときはね、分かりやすいけど、そうじゃないときの方が大事なんだっていう。

――「ペダルを漕いでいるみたいな感じ」って言われてましたよね。

ひとり うんうん。

剛力 生瀬さんが前半の方で言っていた「主役は感情を探させる」というフレーズもよかったですね。

ひとり あれも面白かったですね。

撮影:渡邊明音

――でも、やっぱり役者の方は役者目線でお芝居を見るし、映画監督は演出側の視点でお芝居を見るので、その違いも面白かったですね。

剛力 そうですね。

ひとり あと、カメラマンもちゃんと褒めてくださいね。あれを全部、その場で撮っていったわけですから。

剛力 確かに、逃さないように全部撮ってますからね。

――美術で用意した柱の中に隠れて撮ったりとかしていたみたいで。

ひとり えっ、そうなんですか? あれもなかなか大変なことですよ。その場その場で。途中で見切れてましたけどね(笑)。

剛力 最後のあたりですね(笑)。

ひとり うん。逆にそれで熱量が伝わってきますよね。「撮ってやるぞ~!」っていう(笑)。

――演者の方も、「こっちに顔をよこせ!」というカメラマンの圧を感じたって言っていました。

剛力 ああ、カメラがいいポジションに入っているなっていうところもありましたものね。

ひとり だって、次、誰が喋るのか分かんないわけですからね。

――でも、いちばん多いときは20台ぐらい回っていたと言っていましたよ。

ひとり えっ、そんな台数で撮っていたんだ! いや~そういうことも含めて、すごく豪華な番組になりましたね。

――これが本当に次に続くといいですね。で、どんどん広まっていけば、もっと演技のスキルが高いとんでもない人が参加してくるかもしれないし…。

ひとり うん。リピーターがいてもいいしね。

――あと、7人の役者で作るこのドラマはほかのメンバーでやると違う物語になるし、そういう今回のマーダーミステリードラマならではの物語の作られ方の面白さに関してはどんな感想をお持ちですか。

ひとり あっ、同じ話を別のメンバーでやるってことですか?

――そうすると、もちろんアドリブも変わるし、違う展開にもなってくるので、今日のドラマはこの1回きりしか作れないわけですけど……。

剛力 確かに、同じものは作れないですね。

ひとり 台本を用意する人も大変ですよね。なんか別に、もう殺人とかじゃなくてもいいかもしれないですけどね。

剛力 うん、そうですね。

ひとり 誰が誰にプロポーズするでしょうか? みたいな設定にするとか……。

剛力 あ~それは幸せですね。

ひとり うん。「この中で、誰かが最終的にプロポーズします」みたいなことでもいいですね。

――いろんなものができそうですね。

剛力 色々と芝居がまた変わりそうですね。

ひとり そうですね。いろんなパターンがあったら面白いんじゃないですかね(笑)。

番組情報

『マーダー★ミステリー~探偵・班目瑞夫の事件簿~』
3月19日(金)深夜1時34分~ ABCテレビにて放送。
ABEMAで同時配信決定!
番組公式Twitter:@MadarameMisuo

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。