人に言われてやるのではなく、自分で考えて行動するように、馬が子どもを導いてくれる
写真右より、鷹野心音くん(15歳/エンゼル乗馬クラブ所属)・有涼さん(11歳/エンゼル乗馬クラブ所属)&お母様
馬術を通してお兄ちゃんの心音(あいと)くんが「人の話を積極的に聞いて、自分をより良く変えようとする姿勢が芽生えてきた」と語るお母様。
思春期で親の言うことはなかなか聞き入れにくいこともある時期に差し掛かっている中、「心音が指導者や他のライダーたちとコミュニケーションをとりながら、より上手くなろうと努力する姿が近頃見られるようになった」と言います。
一方、妹の有涼(ありす)さんはもともとピアノを習っていたのですが、コロナの影響で学校が休校となり運動不足や友達と会えない日々が続き、有涼さんから「馬術をしたい」と自らお願いしたのだとか。
本番前にコースを確認しながら、頭の中で走るシミュレーションをしている有涼さん
馬術は失敗をしたら“もう一度頑張ろう”って馬が教えてくれる
「ピアノは自分一人しか舞台にいないので、間違えたら自分でなんとかしなくちゃいけない。
でも、馬術は失敗をしても“もう一度頑張ろう”って馬が教えてくれる気がします。
馬がパートナーとして私を引っ張ってくれるから、一緒に頑張ってお兄ちゃんに負けないようにしなくちゃ、と思うようになりました」
心音さんはジュニアクラスに出場。チルドレンクラスより障害物の難易度もグッと上がる
そんな様子にお母様も「向上心が芽生えた時に、自ら変わろうとする力が子どもを大きく成長させると思います。
何を習うかは一部親の意思もあるので、つい口うるさく声をかけてしまいがちですが、馬術は馬が親代わりというか、上手く子どもを導いてくれる部分があるので、自然と、上手くなるためにどうしたらいいのか、子どもが自分から考えて行動できるようになった気がします」
馬術は「非認知能力」が高められる
信頼しているパートナーに颯爽とまたがる。自然と姿勢も良くなっていく
「好きなことや得意なことを増やしてあげたい」「子どもの可能性を伸ばしてあげたい」など、“一生役立つ何かを身につけさせよう”という思いで習い事を始めることが多いでしょう。
しかし馬術をしている親子の話を聞くと、それ以上に「非認知能力」が高められる習い事のように感じられます。
「非認知能力」とは、「目標を決めて取り組む」「意欲をもつ」「新しい発想をする」「周りの人とコミュニケーションをとる」などといった力のことで、子どもが人生を豊かにする上でとても大切な能力で、これからの社会を生き抜くために重要な能力のひとつとされています。
実際、2018年から実施されている「幼稚園教育要領」では「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(参照:平成30年2月 文部科学省発行「幼稚園教育要領解説」)として下記の項目が示されています。
- 健康な心と体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活とのかかわり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
これらを読んでみると1、2、3、7、9、10などの項目はまさに馬術をすることで得ることができるスキルではないでしょうか?
また、2020年から改訂された「学習指導要領」にも、子どもたちが「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動」できるようになるための指針が記載されていて、非認知能力を高めることの重要性が書かれています(参照:文部科学省「学習指導要領」)。
幼児期のみならず10代にも非認知能力の重要性が謳われていることを考えると、大きくなっても馬術をするメリットがあることが理解できます。
周囲に習っている人が少ないと「馬術を習うこと」のハードルが高く感じるかもしれません。
ですが、これからの時代を開いていく子どもたちにとって大切な能力を、自然と身につけることができる馬術は、子どもの習い事候補のひとつとして積極的に考えてみても良いかもしれませんね。
興味を持った方、また、生きものが好きな子どもにまずは馬と触れ合わせてあげたいと考える方は是非お近くの「乗馬クラブ」を訪ねてみてはいかがでしょうか?
「公益社団法人 全国乗馬倶楽部振興協会」のウェブサイトで、全国にある「乗馬クラブ」を調べることができます。
自宅近くにあるようでしたらこの週末に訪ねてみてはいかがでしょう?
公益社団法人 日本馬術連盟





































