朝食は素朴なハンバーガーと
マンゴーで喉の渇きを癒したら、本格的に朝ごはん探しに向かう。
大溝頂という古いアーケード街にサンドイッチ店があるらしいのだが、実際に行ってみると、予想以上に積年を感じさせる店だった。
午前6時にオープン。トースト、ハンバーガー、サンドイッチだけでなく、定番朝ごはんの蛋餅(卵巻き)があるのがうれしい。
ドリンクの種類も豊富で、豆乳はもちろん、紅茶、コーヒーなど無難なものから、緑豆シェーク、蓮根ミルクなどの変わり種まで20種類以上。
薄暗いアーケード内の小さな朝食店に立つのは60代だろうか、夫婦のようだが、店名は「姉妹老五冷飲」という。メニューが多いのは、客の要望に応えるうちに、あれもこれもと増やしてしまったためだとか。
大溝頂が1990年代にオープンした頃、アーケード内は人がすれ違うのがやっとなほど混雑していたらしいが、今はシャッターを下ろしている店が多く、早朝の人通りはまばらだ。
そんな中で細々と続くこの朝ごはん屋さんのハンバーガーは、欧米のハンバーガーと比べると小さくてパンチがないが、朝にちょうどいいふんわりしたバンズにベーコンや野菜が挟まっている。
脂っこくない、豆乳や緑豆といった台湾の伝統ドリンクとも相性がいい。蛋餅と冷たい豆乳も頼む。
コロナの名残なのか、店のカウンターと客席の間にはチェーンが張ってあり、客がキッチンに近づけないようになっている。
プラスチック製の頼りないピンク色のチェーンだけれど、レトロな朝食店が少しだけ物々しかった。
店主の男性は腰に太いサポーターを巻きながらキッチンに立っている。
次に高雄を訪れるときも、この静かな朝ごはん屋さんが健在でありますように。
(つづく)