健人だからというのは大きい

©2025『知らないカノジョ』製作委員会

――それぞれに相手の役の魅力を教えてもらえますか。

中島:カジさんはずるいですよね(笑)。こういう人、絶対いてほしい。こんな親友がいたら本当に人生が幸せだろうなっていう人です。相手のことを尊重するし、尽くしてくれる部分もあるし、生き方がカッコいい。

演じる人によってもカジさんのイメージは変わったと思いますけど、キリケンさんがカジを演じてくれたことで、人柄の良さがより増したし、僕も演じていて感動できたんだと思います。寛容で、心が豊かで、自分の悲しみは見せずにたくましく前に進んでいる人。なかなかいないと思うし、素敵なパーソナリティを持った役柄だなと感じました。

桐谷:リクはミナミと結婚していた最初の世界での経験があったからこそ、もう一つの世界で気付けることがあったんだと思います。そこでは、本当の自分でありたいと思ったというか。でも、そういう想いって誰にでもあるように思うんです。

いろんな見方ができる映画だと思うんですけど、僕はどんな自分になりたいかは自分で選べるということを伝えていると思っていて。そして、自分が変われば周りの世界も変わる。自分が好きな自分になれれば大好きな人とも出会えるだろうし、大好きな出来事も増えるだろうし。

でも、たとえ自分のことを好きになれなくても、「こんな自分はきらい」って思っていても、そばで支えてくれる人がいるってことを、気づいてほしいということも伝えていると思うんです。

リクはそういうことを体現している人間だと思いますし、さっきも言いましたけど、どの世界にいってもリクとカジは親友だったと思います。

僕がそう思えたのは、健人だからというのは大きいですね。僕らは役者なので、監督の「よーい、スタート」から「カット」まではその世界観に没入しますけど、僕らの関係性が出来上がっていたからこそ出せる温かさがあったと思います。

カメラが回っている以外の時間が、カメラが回っている世界を支えるというのが、僕はまた役者の素敵なところだなと思っていて。それを、この作品で身をもってわからせてもらいました。