満たされないくらいが一番幸せなのかも

©2025『知らないカノジョ』製作委員会

――物語の中で、仕事を優先するがゆえに、プライベートが置き去りになるような場面も描かれていましたが、お二人はその辺りで共感できることはありましたか。

中島:器用な方は仕事とプライベートのどちらも相乗させていくことができるんでしょうけど、僕はどちらかが上手くいくと、どちらかがうまくいかないというのがわかる気がしていて。神様はバランスを取っているんだなって感じます。

だから、幸せ過ぎると感じた時が怖い。「もしかしたら、この後に何かあるのかな?」って。なので、いつも満たされないくらいが一番幸せなのかもとも思います。それが最近の僕の幸せの定義かもしれないです。

すべてが適度というのがいいんだろうなと。何かに集中すると、何かがおざなりになるんです。器用な方はきっとそうでないんだろうから、憧れますね。

桐谷:そこは、僕は健人とは真逆ですね。いろんな考え方があっていいと思うんですけど、僕は、幸せって思ったら、ガンガン幸せになったほうがいいって思います。

何かを得るためには、何かを犠牲にしなくちゃいけないって、誰かが言い出しましたけど、僕は、そんな言葉を素直に聞かなくていいと思っていて。

確かに、悩みや辛いことはあるし、それはたぶん、一生あると思うけど、それはさらに自分を大きくしてくれる起爆剤やと思うんです。「ということは、俺はもっとどうなりたんや?」っていう道を教えてくれるものなんだと。

しんどい、苦しいってことは、それは自分をさらに大きくしてくれる成長のためにあるから、なくなりはしない。大きな幸せの中に、そういう黒い点はあるぐらいに思っておいて、苦しみや、悲しみを自分で大きくし過ぎないようにする。

これは俺の考えだけど、幸せを思い切り感じて、何かしんどいことがあっても「もっと大きくなってやる」くらいの感覚で良いと思う。いつも満たされてないくらいがいいなんて、そんなん言うたらあかん。憧れられて、ハッピーで、カッコいい健人でいいやんって、俺は思う。

中島:こういうことをいつも言ってくれるんです。

桐谷:だってホンマに、永遠に満たされないまま終わっちゃう。次に来る不幸が怖いというのはあるけど、満足しているけど、でも次に行くぜって、さらに満足を目指すぜってなっているほうがいい。健人は伸びしろがまだまだあるので、そこは楽しみです。

中島:キリケンさんは人を引っ張る力があるから、二人で話していても、リーダー力みたいなものを感じています。それは、カジさんにも反映されていたし。リクがカジさんを頼れるというのは、僕らが普段、こういう関係値だったからこそだと思うから、このご縁に感謝しているし、神様が作ってくれたキャスティングだったのかなとも感じて、今、すごく幸せです。

桐谷:何よりや(笑)。その気持ちでガンガン行っちゃって。


普段から仲がいいというだけあって、インタビューでも息ぴったりのお二人。相手が話している間も、お互いに楽しそうに聞いている姿が印象に残りました。中島さんと桐谷さんの関係性を、劇中のリクとカジの関係性に重ねながら見てると、より物語の中で描かれる二人のシーンに深みが出ると思います。リクとミナミの行く末はもちろんのこと、リクとカジの友情の物語もお楽しみください。

作品紹介

映画『知らないカノジョ』
2025年2月28日(金)より全国公開