全く違う世界でも、変わらないこともある

©2025『知らないカノジョ』製作委員会

――梶原は別の世界から来たというリクの話を、普通だったら信じられないはずなのに、最初からどこか受け入れているような雰囲気も持っています。桐谷さんはその辺りをどうとらえていましたか。

桐谷:カジって、一見、何を考えているかわからないような感じがするけど、リクのために一生懸命で、すごく寄り添っているんです。その理由の一つはのちに明かされますけど、そもそもカジは「リクが言っているから、そうなんだろう」と思っている。そのくらいリクのことを信じているんだと思います。

それにカジ自身も、どこかでこの世界は一つだけじゃなくて、違った世界もあったらいいなという想いがあったんだと思います。リクが言っていることを「何言ってるの?」とも思っているし、「リクが言うなら信じよう」とも思っているし、「本当にそうだったらいいな」という希望も感じているんじゃないかと思っていました。

この映画はラブストーリーではありつつ、人間物語というか、友情の部分もしっかり描かれていて。全く違う世界でも、変わらないこともある。その感覚が、僕は好きだなって思います。

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――リクが梶原のほっぺたにチューをするシーンがありましたが、あれはアドリブですか。

中島:アドリブです。すいませんでした。チューをして(笑)。

桐谷:全然いいよ(笑)。確かに、ト書きには書いてなかったね。

中島:いや~、なんでしょう。あの場の空気感が良かったんです。それを作ってくださった先輩に感謝です。無理してチノパンを履いてくれたり(笑)。

桐谷:無理してへんわ!

中島:あははは(笑)。

桐谷:確かに、普段は履かないよ。なかなかベージュは身にまとわないけども。

中島:普段は基本的に黒なんですよ。漆黒な感じでカッコいいから、(ベージュのパンツから)そのイメージとは違う優しさみたいなものを感じて。そういうすべての歯車が合ったからこそ、普通だったら「ここまでやっていいかな?」とかって考えるところを、心が先行して動いてあのアドリブにたどり着いた気がします。

――桐谷さんは急にチューをされたとき、どう思ったのですか。

桐谷:違和感はなかったです(笑)。この世界観だったらリクはカジにするだろうなって。