梶裕貴 撮影:稲澤朝博

2014年10月からスタートしたTVアニメ『七つの大罪』。

最終章となる『憤怒の審判』で原作の最後までを描ききり、メリオダスたちの長い戦いは終わりを告げた──はずの彼らが、再びスクリーンに登場する。

原作者・鈴木央が描き下ろした“最終章のその後”を描く完全新作オリジナルストーリー『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』は、彼らの“その後”の微笑ましい日常や、新たに立ちはだかる困難だけでなく、原作で残されていた謎の数々を補完する、“ファンが見たいもの全部入り”といった内容だ。

「今作で『七つの大罪』は、ついに幕を閉じます」と感慨深げに語るのは、主人公・メリオダスを演じる梶裕貴。

今や業界の中核を担う声優のひとりとなった彼だが、『七つの大罪』スタート当初は若手として、メリオダスという難しい役に試行錯誤しながら臨んでいたという。

あらためて、メリオダスと共に歩んできた年月を振り返ってもらった。

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  • 梶裕貴 撮影:稲澤朝博
  • 梶裕貴 撮影:稲澤朝博
  • メリオダスとゼルドリス 『七つの大罪』 © 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
  • 2代目妖精王のダリア 『七つの大罪』 © 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
  • 梶裕貴 撮影:稲澤朝博

自分がメリオダス役に選ばれた意味を考えながら演じてきた

梶裕貴 撮影:稲澤朝博

──2014年10月から放送が始まったTVアニメ『七つの大罪』も、最終章となる『憤怒の審判』で完結を迎えました。

TVアニメーションとして、完結まできっちり製作していただけたことが何よりも嬉しいです。鈴木央先生が見事にメリオダスたちの物語を描ききってくださり、そして作品ファンの方々が応援し続けてくださったからこそ到達できた最終話だったと思います。

──物語序盤のメリオダスは特に飄々としていて、何を考えているのか分からないところがあるので、演じるのが難しかったのではないでしょうか?

アニメでキャラクターの声を務めさせていただいてはおりましたが……僕はあくまで原作の“いちファン”に過ぎないわけです(笑)。なので、先の展開を知れるはずもなく、毎話彼の本心を探りながらのお芝居は本当に難しかったですね。

でも、第1話のアフレコのときに「これはメリオダスとエリザベスの愛の物語です」というお言葉をいただけたことは、役作りをする上でとても大きかったと思います。

序盤のメリオダスはエリザベスに対して、いわゆる“セクハラまがい”のことばかりやっていたので、「すごい強烈なキャラクターだけど大丈夫かな?」なんて思っていましたが(笑)、よくよく考えると、彼はエリザベスにしかそういったことをしていないんですよね。

最後までご覧いただいた方はご存知かと思いますが、メリオダスは「エリザベスと一緒に幸せになる」という願いを実現させるために、言ってしまえばそのためだけに、すべてを捧げて生きてきたわけです。

まあ、周りからしたらかなり迷惑な恋愛物語かもしれませんが……(笑)。なので、そういった意味では、最初から何ひとつ変わっていないのかなと思います。

エリザベスとメリオダス 『七つの大罪』 © 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会

僕も彼と一緒に柔軟に心を動かしつつ、どんな展開になろうとも「これはふたりの愛の物語なんだ」と、自分の中で強く意識しながら演じてきました。飄々としたメリオダスがキリっとなる瞬間は、必ずエリザベスがらみのドラマでしたしね。

──常にエリザベスのことを頭に置いて演じていた、ということですね。

そうです。

梶裕貴 撮影:稲澤朝博

──原作を読んでいたときは、メリオダスはなかなか掴めないキャラクターなので「どんな声をしているんだろう?」とイメージできませんでした。アニメ化が発表され、梶さんが演じるメリオダスの第一声を聞いたときに「そうか、これか!」と思ったことをよく覚えています。

うれしいです。央先生もオーディションで僕の声を聞いて「これだ!」と思ってくださったと、後からスタッフさんから伺いました。それをお聞きしたときはすごく勇気づけられましたね。

元々先生の中では「女性声優さんが演じるんじゃないか?」というイメージがおありだったようで。小柄で、可愛らしい見た目ですからね。十分その可能性もあったと思います。

でも、そんな中で僕を選んでいただけたわけです(もちろん、オーディションを受ける以上、どの役も「この役を演るのは俺だ!」と思って臨みますが)。なので、特にメリオダスに関しては“自分が選ばれた意味”というものを、しっかりと考えなければいけないなと思っていましたね。