僕にとって音楽は生きていく上で欠かせないもの

撮影/稲澤朝博

――本作は“音楽”をテーマした作品ですが、皆さんとって“音楽”とはどんな存在ですか。

井之脇:僕は小さい頃からピアノを習っていたり、わりと音楽に触れてきた人生だと思うんですけど、今回の映画を通して、改めて音楽の力ってすごいなと思いました。音楽って目に見えない振動をみんなで共有できるもので、頭で理解するというより、体で感じるものというか。だからこそ、その記憶って強く残るんだと思うんです。

今日もこの場所で支度をしている時に、遠くから(清澄と陸が組むバンド)アジュールの曲が聴こえてきて、一瞬で撮影当時の光景がよみがえりました。やっぱり体で共有ができるものってパワーがあるなって思いました。

柳:僕は音楽を作ったり、弾いたりというのは、小さい頃、ピアノを少し習ってはいましたけど、すぐに辞めてしまったから、聴く専門という感じで。ただ聴くことはずっと好きで、触れていたので、海くんが言ったように、この曲を聴くとあのときの気持ちや情景が浮かぶというのは、音楽のすごい力だなと思います。

撮影/稲澤朝博

――今回、ベースという楽器に触れたと思いますが、またやってみたいとか、他の楽器にも触れてみたいというような興味は沸きましたか。

柳:ベースに関しては、今回、まだ怖い気持ちはあるんです。(観客に)弾けてないって思われるんじゃないかって。だから、もし次にやるとしたら、もっとちゃんと弾けるようになりたいです。

――本作の撮影以降は触っていないのですか。

柳:確か、現場で「(ベースを)買います」みたいなことを言った記憶が(笑)。

川西・井之脇:言ってましたね(笑)。

柳:「マジで買うし、続けるし。俺の新しい趣味、できたわ」みたいな感じだったんです。けど、終わってからなかなかモチベーションが……。

川西:一旦、離れたら戻ってこれない(笑)。

柳:言い訳ではあるんですけど、ベースって一人でやるには寂しいというか。

――リズムを奏でる楽器ですからね。

柳:あとやっぱりスピーカーにつなげないと、心地良さみたいなのが出ないんです。だから……すみません。

川西・井之脇:あははは(笑)。

撮影/稲澤朝博

――では、川西さんにとって“音楽”とは?

川西:僕にとっては常にそばにあるものだと思いました。今回は映像作品ですけど、やっぱりどこかに音楽がないと寂しいと感じます。個人的には歌って、作って、聴いてと、常に音楽に触れる日々を送っていて、清澄が音楽だけあればいいと思って生きている気持ちもすごく共感できました。僕にとって音楽は生きていく上で欠かせないものです。

――改めて、そんな“音楽”を扱った本作を、どんなふうにお客さんには楽しんでほしいですか。

川西:映像と音楽がマッチし過ぎていて、そこが僕自身は最高だなって思っています。劇中に流れている音楽を聴くだけでも、儚くて、その時の情景が思い浮かぶくらいになっているので、観て、聴いて、楽しんでもらえたらと思います。

撮影/稲澤朝博


取材後、思わず「お腹空いた~(笑)」と本音を漏らした川西さん。井之脇さんと柳さんが心配していると、この日の朝、ダンスレッスンをしてから取材現場に来ていたことを明かしていました。

すると井之脇さんが「それこそ、現場中も同じようなことあったよね?」と思い出し、柳さんも「何十曲も振りを覚えないといけないみたいな」と、撮影当時の思い出話に。川西さんも「僕、めっちゃ文句言ってましたよね」と笑いながら、いつもこんなふうに3人で楽しく会話をしていたんだろうなと感じられる一幕でした。

※【柳】の漢字は、木へんに夘です

作品紹介

映画『バジーノイズ』
2024年5月3日(金・祝)より全国公開