お互いに自然な感じでいられて、それがちょうどよかった
――映画を観ていると、今ヶ瀬が可愛すぎて、一緒にいたら大倉さんもうっかり成田さんのことをいいな、って思ってしまうんじゃないかと(笑)。
いや、危ないと思ったことすら一回もないですけど(笑)。ただあの可愛らしさや、彼の中にある中性的な部分とか、しなやかな部分とかは、僕からするとすごく説得力がありました。だからナチュラルに恭一のセリフを言えたんじゃないか、と思っています。
――相手が成田さんだったからこそできたと感じるシーンはありますか?
それは全部そうだと思います。成田くんのビジュアルの説得力もありますけど、女性がやったらあざとくなることも、ピュアにやっていて。セクシャリティ的にストレートな人を振り向かせるためには、あそこまでピュアにならなくちゃという気持ちになるのかな、って思ったりもしました。
あとは成田くん自身、周りにいるそういう方から話を聞いたりする中で、目に湿度があるというか、全体的にしっとりしているような印象を抱いたらしくて。それでああいう表現をしたらしいのですが、それができるのもすごいですよね。見ているとそんな表情して何を考えているんだ?って感じがしてくるんです。
――今回、成田さんとの距離感は大事だったと思うのですが、縮めるために何かしましたか?
全く何もしていないです(笑)。「初めまして、よろしくお願いします」って言ったときから、クランクアップするまで、変わらない距離感でやっていたと思います。もちろん空き時間とかにしゃべったりとかはしていましたけど、役について語り合うとかはなかったし。お互いに自然な感じでいられて、それがちょうどよかったと思います。
最初に今ヶ瀬からキスをされるシーンは変な緊張感はありました
――LGBTQの作品に関わるときは、普段の作品とは違う心構えをすることはありますか?
特にはないです。「スタート!」って言ってもらえたら、役に入れるので大丈夫ですよ。最初に今ヶ瀬からキスをされるシーンはドキドキではないんですけど、変な緊張感はありました。
心構えは特に変わらないんですけど、どんな気持ちになるんだろう、みたいな感覚はありますね。まあでも、シーンごとに感じている気持ちは全然違うと思います。それは当たり前のことかもしれないですけど。
――最初のキスシーンではどんな気持ちでいたんですか?
無になるしかない、みたいな。でも今ヶ瀬から迫られるシーンなので、リアルな恭一の気持ちでいたように思います。
――キスシーン対する意識も回数を重ねるごとに変わってくるのでしょうか?
最後の方は慣れもありましたけど(笑)。気持ちの変化もあるので、1回目は一方的にされるがままだけど、2回目は少し動いたりするのかな?とか、細かいところもありました。
ただ基本的にはそんなに計算せずにやっていました。その度合いがもし間違っていたとすれば、監督が注意してくれたと思いますけど、そういうこともなかったです。