僕たちの世代だからできること見つけていく

松岡広大

松岡 僕ももちろん非常に嬉しかったんですが……成河さんがまたやられるとは聞いてないぞ、とも思いました(笑)。

オーディションを受ける前、ちょうど『ねじまき鳥クロニクル』でご一緒していたので、受けるんですってお話もしてたんですよ。その時は「ああそうなんだ、頑張ってね~」としか言われなかったのに、蓋を開けてみたら同じ役。光栄ですが、やはり緊張します。

山崎 3組あるって、やっぱりプレッシャーではありますよね。しかもこの作品は、これまでにも何組もの方々が演じられている。選んでいただいた以上は新しいものを作りたいけれども、オリジナルを無理に狙って物語が成立しなくなるのもおかしいし、という葛藤があります。

松岡 そうですよね。とにかく作品に真摯に向き合って、選ばれた理由、僕たちの世代だからできることを、自分たちで見つけていくしかないのだと思います。俳優が変われば見え方も変わるのはごく自然なことだと思うので、果敢に挑戦していきたいですね。

山崎大輝

──ちなみに、逆の配役を考えたことは?

松岡・山崎 ないです!

松岡 おこがましいかもしれないですけど、「『私』は俺だ」って、なぜか最初から思っていたんですよね。できる! やってみせる! という、変な自信があったんです。逆に、自分が「彼」を演じている姿は想像ができなかった。「私」と僕にはきっと、どこかで共通項があるのだと思います。

山崎 僕は「彼」としてお声がけいただいたので、単純に初めからそっちに精いっぱいでした(笑)。冷酷な「彼」は、今の僕から見たら遠い役。

でも僕は、自分に近い部分がある役のほうが演じやすいと思う一方で、遠い役を演じることで、自分の中から“裏面”の僕が出てくるような気もしてるんですよ。今回も、僕の中に眠る冷酷さが呼び覚まされるんじゃないかと期待してます(笑)。

松岡 はははは! それ、すっげー楽しみです(笑)。

“化け物先輩”のことは、気になるけど気にしない!

松岡広大

──今日のビジュアル撮影から、いよいよ作品が動き出した形です。ぜひ感想をお聞かせください。

松岡 すごく緊張しました! スタッフの皆さんは柔らかい感じでいてくださるんですけど、作品の歴史や系譜を考えるとやはり、ずっしりとした重厚感をまとっているような気持ちになって。

山崎 そうですね。まだホンをしっかり読んでいるわけではない中でも、役をちょっと“降臨”させようと思って臨んではいたので。

広大君とお会いしたこともあって、自分は『スリル・ミー』に出るんだ、という実感がどんどん湧いてきました。同時に乗り越えなきゃいけない壁も具体的に見えてきて、めちゃめちゃ楽しみなんですけど、やっぱり不安も湧きましたね(笑)。

松岡 僕だって吐きそうです(笑)。田代万里生さんと新納慎也さんのペアにご挨拶する機会もあって、お客さんが観比べることになる相手を具体的に意識するようにもなりましたし。おふた組とも、僕たちとは明らかに厚みが違う“化け物先輩”ですからね!(笑)

山崎大輝

山崎 本当にそうで、色んなことが具体的になればなるほど、「俺で大丈夫か!?」って思います(笑)。だから僕は、もちろんほかのペアのことは気になるんですけど、できるだけ気にしないようにしようと思ってて。オーディションの準備の時から、いただいた参考音源はあまり聴かないようにしてましたし、稽古が始まってからもそうするつもりです。

松岡 そもそもとんでもない方々な上に、おふた組ともこの作品で一度成功していらっしゃいますからね。僕も、学ぶところは学びつつ、意識し過ぎないようにしたいと思っています。