2022年の秋、鍾路から忠武路を貫く雑居ビル群(世運商街)の連結工事が完了し、約1キロの空中散歩が楽しめるようになった。前回に続き、忠武路までの空中散歩を続けよう。
大林商街ビル前の橋を渡ってホテルPJへ
世運商街と呼ばれる南北に連なるビル群は、橋で連結される前は大ざっぱに3カ所が分離していた。そのうち一番北側は2017年につながり、残り2カ所は去年から今年にかけてようやくつながった。
世運商街は1960年代の構想では複数のビルを連結して完成させるはずだったが、諸事情により実現できなかった。つまり今回の連結は55年越しの夢がようやく叶ったというわけだ。
2つ目の橋を渡ると、ホテルPJにつながる三豊商街のビルの空中歩行路に入る。PJホテルはかつてはプンジョンホテルという名の日本人向け格安ツアー御用達のホテルだったが、2007年にリニューアルされグレードアップした。
周辺には小さな印刷工場が密集していて、輪転機の音や印刷物を運ぶオートバイの音が聞こえてくる。歩行路の下には大衆的な飲食店が並んでいる。
かつてはこの辺りの工場で働く人たちの利用が多かったが、ここ数年のレトロブームで世運商街周辺が注目され、若いカップルや女子会グループの姿も見かけるようになった。
彼らの目当てはスンデ(腸詰)の古株「サンスカプサン」やLAカルビの専門店街だ。
ホテルPJ前の橋を渡って新星商街→進陽商街へ
ホテルPJの玄関を見下ろしながら3つ目の橋を渡って新星商街のビル脇の歩行路に入る。
このビルの西側の壁面では、映画『10人の泥棒たち』(2012年)が撮影された。キム・ユンソクのワイヤーアクションの銃撃戦を覚えている人もいるだろう。
また、ソン・ガンホとカン・ドンウォンが共演した映画『義兄弟 SECRET REUNION』終盤の銃撃戦も、新星商街の西側に面した雑居ビル屋上で撮影されている。
新星商街とその先の進陽商街のビル西側にはソウル中心部に残る貴重な生活市場、仁峴市場が並行している。ここには人気食堂兼酒場「ジンミネ」をはじめとするこぢんまりとした飲食店が並んでいるので、夜、歩行路を下りて一杯やるのもいだろう。
進陽商街のビルは空中歩行路の南端に位置している。この辺りは忠武路(チュンムロ)と呼ばれるエリアで、地下鉄2号線の忠武路駅はすぐそこだ。
明洞、仁寺洞、鍾路3街、乙支路3街、広蔵市場、東大門市場など旧市街の観光スポットが徒歩圏にあり、しかも漢江の向こうの江南エリアへも地下鉄で4駅なので、忠武路にホテルを取るのもおすすめだ。