大林商街のビル(左)と三豊商街のビル(右)を結ぶ橋(西側)から東方向を望む。右手にはホテル国都の建物も見える。三豊商街のビルはホテルPJのビルにつながっている

2022年の秋、鍾路から忠武路を貫く雑居ビル群(世運商街)の連結工事が完了し、約1キロの空中散歩が楽しめるようになった。前回に続き、忠武路までの空中散歩を続けよう。

フォトギャラリー空中歩行路を歩いて見た「ソウルの新名所」
  • 山林洞の路上クラブで踊る若者たち
  • 清渓商街と大林商街のビルの東側はまだ町工場街が健在。最近、町工場が密集する山林洞では路地をクラブに一変させるイベントが行われ、若者の注目を集めている
  • 清渓商街の歩行路の東側にできたカジュアルな麺と酒の店「ケリム・ククス」
  • 清渓商街の歩行路の東側にできた風変わりな書店「ソヨ ソガ」 
  • かつてはサムギョプサルを焼く匂いが漂っていた清渓商街のビル北端には、新たにカフェができていた

大林商街ビル前の橋を渡ってホテルPJへ

大林商街のビル西側の歩行路から橋を渡り三豊商街のビルへ

世運商街と呼ばれる南北に連なるビル群は、橋で連結される前は大ざっぱに3カ所が分離していた。そのうち一番北側は2017年につながり、残り2カ所は去年から今年にかけてようやくつながった。

フォトギャラリー「世運商街(セウンサンガ)」空中散歩の見どころをさらに見る
  • LAカルビは骨付きカルビを骨の断面が露わになるように垂直にカットして味付けして焼いたもの
  • 三豊商街のビルとホテルPJのビル西側の歩行路の下にあるLAカルビ専門店
  • 映画『10人の泥棒たち』でキム・ユンソクのワイヤーアクションが撮影された進陽商街ビルの西側壁面(忠武2ギルから撮影)
  • 新星商街ビルの西側歩行路から仁峴市場を見下ろす。屋根のある部分が市場
  • 仁峴市場の人気店「ジンミネ」のカジャミクイ(カレイの揚げ焼き)

世運商街は1960年代の構想では複数のビルを連結して完成させるはずだったが、諸事情により実現できなかった。つまり今回の連結は55年越しの夢がようやく叶ったというわけだ。

2つ目の橋を渡ると、ホテルPJにつながる三豊商街のビルの空中歩行路に入る。PJホテルはかつてはプンジョンホテルという名の日本人向け格安ツアー御用達のホテルだったが、2007年にリニューアルされグレードアップした。

周辺には小さな印刷工場が密集していて、輪転機の音や印刷物を運ぶオートバイの音が聞こえてくる。歩行路の下には大衆的な飲食店が並んでいる。

かつてはこの辺りの工場で働く人たちの利用が多かったが、ここ数年のレトロブームで世運商街周辺が注目され、若いカップルや女子会グループの姿も見かけるようになった。

彼らの目当てはスンデ(腸詰)の古株「サンスカプサン」やLAカルビの専門店街だ。

三豊商街のビルとホテルPJのビル西側の歩行路の下にあるLAカルビ専門店

ホテルPJ前の橋を渡って新星商街→進陽商街へ

ホテルPJのビル(左)と新星商街(右)を結ぶ西側の橋から東方向を望む

ホテルPJの玄関を見下ろしながら3つ目の橋を渡って新星商街のビル脇の歩行路に入る。

このビルの西側の壁面では、映画『10人の泥棒たち』(2012年)が撮影された。キム・ユンソクのワイヤーアクションの銃撃戦を覚えている人もいるだろう。

映画『10人の泥棒たち』でキム・ユンソクのワイヤーアクションが撮影された進陽商街ビルの西側壁面(忠武2ギルから撮影)

また、ソン・ガンホとカン・ドンウォンが共演した映画『義兄弟 SECRET REUNION』終盤の銃撃戦も、新星商街の西側に面した雑居ビル屋上で撮影されている。

新星商街とその先の進陽商街のビル西側にはソウル中心部に残る貴重な生活市場、仁峴市場が並行している。ここには人気食堂兼酒場「ジンミネ」をはじめとするこぢんまりとした飲食店が並んでいるので、夜、歩行路を下りて一杯やるのもいだろう。

フォトギャラリーご飯も美味しそう♪「仁峴市場」の魅力を写真でさらに見る
  • 「チョンファ食品」には簡単に調理してもらえるつまみもある。これは春雨を海苔で巻いて揚げたもの
  • 仁峴市場の北端から2つ目の路地を入ったところにあるシュポ「チョンファ食品」
  • 「ウリ食堂」のチョングッジャン(納豆汁)定食
  • 「ジンミネ」は海鮮が旨い。これはアサリ鍋
  • 「ジンミネ」の女将と息子さん
新星商街ビルの西側歩行路から仁峴市場を見下ろす。屋根のある部分が市場
仁峴市場の人気店「ジンミネ」のカジャミクイ(カレイの揚げ焼き)

進陽商街のビルは空中歩行路の南端に位置している。この辺りは忠武路(チュンムロ)と呼ばれるエリアで、地下鉄2号線の忠武路駅はすぐそこだ。

明洞、仁寺洞、鍾路3街、乙支路3街、広蔵市場、東大門市場など旧市街の観光スポットが徒歩圏にあり、しかも漢江の向こうの江南エリアへも地下鉄で4駅なので、忠武路にホテルを取るのもおすすめだ。