進陽商街の歩行路を歩いていると突然草木の匂いを感じるかもしれない。古びた建物には不似合いだが、このビルの中には生花店が集まっているのだ

空中歩行路のゴール、忠武路へ

歩行路を突き当たりまで行くと、忠武路駅の出入口とビル壁面を映画のポスター映像で飾ったシネコンプレックス「大韓劇場」が目に入る。歩行路の終点だ。

韓国の中高年は忠武路といえば映画を思い出す人が多い。かつては映画館や配給会社がここに集まっていたからだ。「大韓劇場」はその象徴だった。

2022年の夏、Netflixで配信された映画『ソウル・バイブス』には、1980年代の大韓劇場(2001年にシネコンプレックス化)がCGでみごとに再現されているので観てほしい。

当時の我が国では韓国映画の人気はもうひとつで、動員力があったのはハリウッド映画と香港映画だった。『ソウル・バイブス』の劇中でも大韓劇場の絵看板は香港映画だった。

鍾路から忠武路駅前までの空中散歩最大の魅力は、ダイナミックに変化するソウルを一望できることだ。

再開発によって土が露出した地面、周辺の高層ビル、植民地時代の日本家屋が残る町工場街、歩行路を彩るカフェ、老朽化したビルの中の花園……。ビルだらけの江南エリアでは体験できない大人の散歩だ。

3年ぶりに来日!著者チョン・ウンスクのトークイベント開催

1月7日(土)名古屋でチョン・ウンスクのトークイベントが行われます。

1部 15:30~17:00 講座「ソウルの変化」(消えたもの、生まれたもの。新業態、新製品など)

2部 17:30~19:00 情報交換会(日本のみなさんの韓国ロスの癒し方や、久しぶりに訪韓した人の目に映った韓国の姿などを聴きます。そして、講師が半年がかりで取り組んできた新たな仕事についても話します。詳細とお申し込みは栄中日文化センターまで。

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。