ローマで迷子に
ベネチアで街歩きを楽しみ、フィレンツェで芸術を堪能した私と娘はローマへ。メインイベントは世界遺産の円形闘技場コロッセオ見学。
ヨーロッパはとにかくなんでも「事前に予約」が鉄則だ。
飛行機やホテルはもちろんのこと、遺跡見学、美術館や博物館の入場、一部の有名レストランなどは、ネット予約をして手元にQRコードを用意し、スマホで入場する。
予約せずに行くと入場できないか、または何時間も待たされることになる。
スマホがなければヨーロッパ旅行はかなり難しい。コロナでデジタル化が推進されたこともある。
コロッセオに行く日、私は片付けなければいけない仕事があり、野暮だと思いながらも宿泊したアパートメントでPCに向かって仕事をした。娘は1人でバチカン市国を訪れ、夕方コロッセオで待ち合わせする。
仕事を終えて余裕をもって部屋を出た私だが、まず地下鉄の駅が見つからない。
ここまですべて娘まかせにしていただけに、地下鉄へたどり着くのもひと苦労。事前に娘からレクチャーされていた地下鉄の切符購入にも大いに戸惑う。
コインを先に入れる、ボタンを押す…そんな単純なことさえ、画面の文字がすべてイタリア語だとあたふたしてしまう。
ようやく改札をくぐり、地下へ下りて行き先を確認しようとしてまた慌てる。
地下ではスマホの電波が届かないのだ。これでは上りと下り、どちらの地下鉄に乗ったらいいのかわからない。
もう一度改札の近くまで戻るが、それでもスマホは圏外のまま。
一度入ってしまった改札から出ることもできず、私はカンにまかせてホームに到着した地下鉄に乗ってみたのだが、間違いに気づいて2つ先の駅で逆方向の地下鉄に乗り換える。
そして3駅ほど乗って「ん? やっぱりさっきのほうが正しかったのか?」もう一度、逆方向の地下鉄に乗り換える。
おなかはペコペコ。迷子になった。心細さで泣きそうになる。
旅行ライターたる者、タクシーを使ったら負けだ。
ここはなんとしても地下鉄で目的地までたどり着きたい。
3回地下鉄を乗り間違えて、ようやく地上に出て、なんとかコロッセオへ。娘はとっくに到着していた。
「ママ遅かったじゃん」
これだから旅はやめられない。ベネチアでは子供の頃の夢の実現に涙し、ローマでは心細さに涙を流す。
旅路は恋路と似ている。一目惚れして、のめり込んで、我を忘れて追いかけても、冷たく突き放されることもある。
失敗というスパイスがその経験を味わい深いものにしてくれる。
(つづく)
ヨーロッパでのインターネット事情
ヨーロッパでのインターネット接続はどうしようかと悩んだが、結局、トランジットで立ち寄ったロンドンの空港でSIMカードを買った。
ここ数年の間に日本のスマートフォンもSIMフリーが一般的となっている。
私もキャリア(携帯電話会社)を変更できるSIMフリーのスマホを使っているので、ロンドンでユーロ圏全域対応のプリペイドSIMを購入して差し替えた。
たとえば30日間有効でギガは無限だと約30ユーロなど、選択肢がいろいろある。短期間ならもっと安く抑えることもでき、今回はアイルランド、イギリス、イタリアで問題なく使えた。