――「ママ、もしくはご家族が決めたスタイルに第三者が異を唱える必要はない」。その視点は新鮮な気がしますが、ハワイではそれが一般的ということでしょうか。

堀内:ハワイは多種民族の暮らす土地ですが、どの民族でもこの点については同じような考え方をしていると思います。

ハワイではさまざまな民族が、それぞれ異なる習慣で生活をしていますから。

だから授乳についても、子育てについても、自分と異なるやり方についてオープンなスタンスになるのではないでしょうか。

――多民族・多文化が共生してきた、ハワイならではの考え方なのかもしれませんね。

では最後に世界各地で子育てを経験された堀内さんから、日本のママたちにメッセージをお願いできますか。

堀内:子育てについては「ところ変われば品変わる」ではありませんが、本当にいろいろなスタイルがあると思います。

シンガポールでは多くのご家庭でメイドさんを抱え、レストランなどの公共の場でもママだけが子どもの面倒を見たりしなくていいんですね。幼いお子さんのいるママでも、ゆっくりと食事を楽しむ姿が見受けられました。

サンフランシスコでは、平日でも公園にパパが登場することが少なくなく、ごく自然に育児に関わっていました。シリコンバレーをはじめとしたアメリカ西海岸は仕事の時間や働き方もフレキシブルなので、社会全体で子どもを育てていくという雰囲気があるように感じます。

話をハワイに戻しますと、ハワイも共働きが多く、ワイキキなどのホテルやレストランとなるとシフト勤務をするパパやママもたくさんいるので、お互いに協力しながら育児をしている様子が見られます。

日本のママたちも「育児はママの仕事!」、「ママは○○すべき!」とあまり思い詰めすぎないで、「いろんなカタチがあっていいんだ」と時に思えたら、気持ちが少し楽になることもあるかもしれません。

併せてパパたちも育児を「ママだけ」に委ねずに済む、社会も育児に対して「ウェルカム」で「オープン」な、そんな環境になってくれたらいいですね。

ハワイは子連れでのんびりできるところもたくさんありますし、ママにもパパにも子どもにもおおらかな土地柄なので、よかったらぜひ遊びにいらしてください!

【取材協力】堀内 章子(ほりうち しょうこ)さん

大学を卒業して日本の広報代理店に勤めた後、シンガポール、米国・サンフランシスコで広告代理店に勤務。6年の海外生活の後、東京に戻り、2007年あらためてハワイに移住。オアフ島を拠点に、海外企画編集会社「ホリコミュニケーション」を設立し代表を務めている。長女をシンガポールで、長男を東京で出産した二児の母でもある。

15の春から中国とのお付き合いが始まり、四半世紀を経た不惑+。かの国について文章を書いたり絵を描いたり、翻訳をしたり。ウレぴあ総研では宮澤佐江ちゃんの連載「ミラチャイ」開始時に取材構成を担当。産育休の後、インバウンド、とりわけメディカルツーリズムに携わる一方で育児ネタも発信。小学生+双子(保育園児)の母。