大人になってこんな親密なお芝居をするような関係になるとは

撮影/川島彩水

――今回の共演で気付いたお互いの魅力は?

板垣:僕が「こういう方なんだろうな」と想像をしていた、イメージ通りの方でした。結構、大変なシーンも多かったんですけど、ずっとこの明るい感じで居てくださったのはありがたかったです。

加藤:でも、本当に大変だったよね。びしょ濡れになったり。降ってくる水の音も大きいから、大きい声でセリフを言わないと周りに聞こえないとか。

板垣:茂さんがお酒を飲むから(笑)。あのシーンはかなり濡れましたね。

加藤:そんな中でも、りーくんは最初からずっとかわいい状態でいてくれました。この間、りーくんの展示(板垣李光人個展「愛と渇きと。」)を見に行かせていただいたんですけど、僕が下を向いていたら、その視線の中にひょこっと入ってきて「加藤さん、ありがとうございます~」みたいな。

板垣:あははは(笑)。

加藤:もう「なんてかわいいの! こんな子いない!」って(笑)。かわいすぎて大好きです。この間、りーくんが出ているバラエティ番組の収録の次に、僕の収録があったから、待っている間、ずっとモニター越しにりーくんのことを応援していました。

板垣:ありがとうございます(笑)。

撮影/川島彩水

――お二人は今回が初共演ですか。

加藤:実は、まだ(板垣が)子供の頃、『ピラメキ子役恋ものがたり〜子役に憧れるすべての親子のために〜』(2015年)という映画で共演していて。

――当時のことって覚えていましたか。

加藤:覚えてはいたんですけど、「板垣李光人くんって、あの子だったんだ」という感じです。鈴木福くんが主演で、原菜乃華ちゃんも出ていて。(板垣は)中身が大人みたいな役で、福くんに「ADさんと仲良くしておいたほうがいいよ」って言うセリフがあったんですけど、そのADを僕が演じていました。

その頃からちゃんとしている子だなと思っていましたけど、まさか大人になってこんな親密なお芝居をするような関係になるとは思っていませんでした。

板垣:セリフを交わすのは今回が初めてだったんですけど、加藤さんは初めてという感じを与えないお人柄で。僕は初めましての方から、よく「話しかけちゃいけないのかと思った」って言われることが多いので、そういう空気感を作れるのは、「加藤さん、すごく素敵だな」って思っていました。

加藤:めっちゃ褒めてくれるじゃん(笑)。けど、(板垣と加藤の)初日は深田恭子さん(肝細胞役)も一緒だったから、現場自体にふわっとした雰囲気があったよね。

板垣:そうですね。けど、あのシーンも結構人が多かったし、狭かった。

加藤:確かに(笑)。

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――加藤さんは今回の共演で改めて気づいた板垣さんの一面はありますか。

加藤:武内監督の作品での徳永(友一)さんの脚本って、専門用語とか、説明セリフが多くて難しいんですけど、りーくんはNGを出さないんです。本当にすごいなと思っていました。しっかり準備をされているんだなと。今回、武内監督から「これは医療ものだと思って」と言われて。

板垣:本当にそうですよね。

加藤:「内肛門括約筋? 外肛門括約筋?」ってところから始まって。専門用語が本当に多くて、それも大変でした。

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――完成した作品を観た感想を教えてください。

板垣:体内のシーンは自分が出ていないところも、少し現場に早く入ったときなどに見たりもしていたので何となくわかっていたのですが、人間側のシーンはどういう感じになっているからわかっていなかったので、完成作で初めて感じることも多かったです。

阿部さんが演じる茂は、面白い部分もあれば、泣ける部分もあって、日胡ちゃんとの親子関係も素敵だなと感じました。

加藤:別の作品を観ているような感じだったよね。

板垣:2つの作品が合わさっているような。

加藤:僕らのシーンはびしょ濡れになったり、ぎゅうぎゅうになったり、大変だったから、他の人たちは撮影が楽しそうだなって思いました(笑)。みんなでサンバを踊ったり。うちらも踊りたかったよね?

板垣:あとは、ボールプールに飛び込んでいたり。あんなの無かったですもんね。

加藤:ね! ロケ場所によっては「あのシーンはあそこで撮ったんだろうな」というところもあるんですけど、それが作品の世界観として出来上がっていてすごく面白かったです。知っている場所には親近感も持てるし。でもちゃんと体内なんですよね。

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