今後の課題と夏フェスについて

── なるほど。さらに大きな課題として、延期対応にしたものについては、当然ながら別日程での振替えが必要になってくるわけですが、

それがいつから可能なのか、また振替えられる会場はあるのかという現実的な問題にも直面しますよね。

野村達矢氏

野村 例えば2000~3000人規模のホールで、地方の場合だと、まだ対応できている実感はあるんですが、

やっぱり東京や大阪といった都市部におけるアリーナクラスの会場になると、年内の延期対応はほぼ困難な状況ですね。

僕の携わっているアーティストで言うと、それこそサカナクションはオープン予定だったぴあアリーナMMで5月にやらせていただく予定だったんですけど、残念ながらそれもできないことになり、振替えもまだ目処が立っていないという状態ですね。

中止にするのと延期にするのとでは、経済的な部分で大きな違いがありますからね。

できれば延期で行えればいいのですが、実際に会場が取れないとなると中止にせざるを得ないという判断も現実的になってきて、非常に厳しいところですね。

── 野外ライブの場合は、早めに中止の決断をすることがリスクヘッジにもなるということもありますよね。

野村 そうですね。やはりステージや照明を一から組み上げるのに、その部材や人員を確保したりということを考えると、ギリギリまで引っ張って判断するというのは得策ではありませんからね。

さらにクリエイティブ面においてもプランニングやリハーサルといった準備面はかなり早い段階から進行していきますからね。

それはアリーナやスタジアムクラスでのツアーでも同じで、どこでどのような決断をするのか、主催者にとっては非常に難しい判断が迫られることになりますね。

── これから夏フェスのタイミングに突入していきますが、まさにその判断の渦中といったところでしょうか。

野村 夏フェスの場合、考えなければいけないのは、やはり大人数かつ県をまたいでの移動を伴うということですね。

それともうひとつ、現時点でそれぞれのアーティストのライブやツアーが中止や延期となっている状況で、フェスは出るのか、といったファンとの信頼関係の部分を気にする、というのは大いにあるかと思います。

あと象徴的な出来事としては、この夏に開催されるはずだったオリンピックが延期となったということも大きいでしょうね。

── 現実的な判断の材料に、例えば、オリンピックも延期なのに……というムードも加味しなければいけないというのが、この状況の特殊性を物語っていますね。

引き続き、次回はエンタテインメント業界の起こしたアクションと変化の兆しについてお聞かせください。

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