朝のランニングが楽しめる環境

【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】北投公園の一角にある大衆浴場風の温泉。一般60元、子供や高齢者は半額。軍人や元警察官も半額

北投を選んだ理由はもうひとつある。 普段、家からほとんど出ずに原稿を書いている私は、うっかりすると1日200歩くらいしか歩かない。だから朝のランニングを日課にしている。

バイクや車が行き交う雑多な台北市内よりも、緑が多い北投は走りやすそう。 予想通り、硫黄臭たっぷりの濃厚な温泉につかった翌朝、少し霧がかった北投周辺はひんやりと涼しく、山や公園の新緑が眩しい。 私はご機嫌で北投公園を周遊するコースを走った。

午前7時台の北投エリアにはジョギングやウォーキングをしている人の姿もちらほら。

コースを半周ほどすると、道端に長い行列ができているのが見えた。お年寄りが20人ほど列を成しておしゃべりをしている。

その行列の先にあったのは温泉の銭湯。千禧湯というのれんが掛かっているが、正式名は北投公園露天温泉浴場。チケットは60元(約270円)とリーズナブル。
子供や軍人、65歳上は半額の30元。なぜ並んでいるのかと聞くと、午前8時にオープンだからだそうだ。

現在7時55分。少し前からエントリーで待っていたのだ。

朝から硫黄臭たっぷりの温泉で過ごす台湾のお年寄り。 毎週土曜日の朝、緑が茂る公園を散歩して、いつもの温泉でご近所さんとおしゃべりをしながら背中を流すなんて、素敵な週末の過ごし方だ。

【台湾食べ歩きの旅③北投温泉編】北投の街角で見つけた小さな廟。伝統的な建物に電光掲示板というアンバランスさが台湾らしい。 通勤前や買い物のついでに立ち寄る人が多い

そろそろお腹がすいてきた。北投には大好きな朝市がある。朝ごはんを物色しに行こう。

(つづく)

フォトギャラリーめちゃウマ魯肉飯!北投朝市のおすすめグルメ
  • 同じく北投中継市場の食堂の鼎邊銼(ディンビェンツオ/米粉片)と鶏肉巻(挙げ肉巻き)。鼎邊銼は基隆夜市が有名だが、北投市場のものは手作り感が強く、もちもちで美味
  • 「矮仔財」では野菜も注文。魯肉飯は35元(160円)、野菜は40元(180円)、大腸は少し高めの110元(500円)
  • 魯肉と同じ鍋でクタクタに煮込まれた「矮仔財」の大腸。しっかり味が染みていて、噛むと煮汁がジュワッと口中にあふれる
  • 北投市場のもうひとつの人気店「矮仔財」の魯肉飯の「小」。艷やかな肉は甘みが強めで濃厚な味
  • 北投市場の朝ごはんエリアで「矮仔財」と人気を二分する店のひとつ「黄家酸菜魯肉飯」。その名のとおり、酸菜(漬物)と魯肉飯の組み合わせが絶品

みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。